記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

それ”は在る―ある御方と探求者の対話

“それ”は在る―ある御方と探求者の対話 (覚醒ブックス)“それ”は在る―ある御方と探求者の対話 (覚醒ブックス)
(2013/05/10)
ヘルメス・J・シャンブ

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静寂から、あなたが自分だと思い込んでいる<私>を観なさい。視点を完全に変えるのだ。P.463

この手の本はどれを見ても大体書いてあることが同じなのでもう読まなくていいかな、と思いつつAmazonの書評があまりにも良いので購入してしまいました。”現時点で最高のネタバレ本”なんて感想を見てしまうと、やはり読みたくなります。ただ出版まもなく大絶賛のレビューが集まっているのは若干不自然な気もしましたが...(著者の弟子など関係者のレビューではないか、とか)。だが、確かに読んで後悔しない本でした。 著者はヘルメス・J・シャンプとありますが、日本人で、悟りを開き、田舎で独りで畑仕事をしながら教えを説いている方です。本書の中に、OSHO、ラマナ・マハルシ、セーラー・ボブ・アダムソンといった名前も出てきており、アドヴァイタ系の影響を受けてきた方のようです。特に、巻末には”目覚めをもたらしてくれたラマナ・マハルシには言葉もないほど感謝している”との言葉もありますので、ラマナ・マハルシの教えが決定打であったようです。こういうラマナ・マハルシなどの影響を受けて実際に目覚める方、増えてるんでしょうね。 帯には、”これはまったく上級者向けだ。”とありますが、確かにそうでしょう。この手の話を読んだことのない人が読んでもさっぱりわからないでしょう。ラマナ・マハルシ、セーラー・ボブ・アダムソンなどのアドヴァイタ系の本を読み漁ってインスパイヤされながらもそこから先の一歩が進まない、といった人たち向けの本だと思います。最初に読むのであれば、エックハルト・トールやガンガジのがわかりやすいと思います。 この手のアドヴァイタ系の本ではどれにも”思考を見よ。思考は自分じゃない”といったことが書かれています。それを読むと”なるほど、思考を見よう。同一化を止めよう。.......で、どうするの?”といって、また思考に戻ってしまいがちです。この”で、どうするの?”も思考であり、無視せよ。ただ在り続けるのだ、といった、教えを捨てよ、レベルのところを本書では強調しているように思いました。アドヴァイタ系の本を読んだときに陥りがちな罠からの脱却がフォーカスされています。まさに上級者向きだと思います。 また、”ただ<在る>である<真我>に意識を向け続けることは、まるで走り続けていた車のアクセスペダルから足を離すようなものだ。すぐに<私>の活動が止まるわけではない。(P.140)"といった例えもわかりやすい。アドヴァイタ系の罠として、すぐに結果を求めてしまうことがある。アドヴァイタ系の本を読んで、なるほどと思い、しかしながらすぐに何かが起こり目覚めるわけではない。そうするとなんとかしよう、と思い、逆に自我の活動が強まってしまう。本書で著者は、自我の活動はすぐに停止するようなものではない、と述べます。教えを聞いたらすぐに何か結果を求めようとするのではなく、気にせずほおっておけ、といったところでしょう。”教えが自然に作用するのに任せなさい”とラメッシ・バルセカールもいっていたように思います。 いずれにせよ、お勧めの名著です。