"同じにするという能力を、人間は能力としてどこかで手に入れた。そう考えてみると、人間の特徴は全部説明できるという気がしてきたのです"
養老先生が随所に書いた文章を集めた本ということ。どこかで見たような内容が多いが、養老先生が良く語っている、”言葉”、”同一性"、"情報"が"脳から考える人の起源と進化"という章にまとまっていて良かった。いろんな本でこの説明を読んだがクリシュナムルティやアドヴァイタのグルなど宗教的な覚者たちが語っていることとシンクロしている気がしてすごく本質をついていると思う。人間はことばを手にして同じにするという能力を手に入れた一方その監獄に閉じ込められているということか。
確かに言葉で考えると、”人は生まれて、何かを得たとしても死んだらなくなる””未来は太陽は地球の軌道まで膨張するし、ビッククランチもあり地球、宇宙も有限であるこの世界に何の意味があるのか”とか、むなしい思いにとらわれることがある。このときに自分は言葉の世界にとらわれていることに気が付くべきだろう。その世界の中では解が無くても、それは人間の脳、意識の一領域であって、そこから出ることは可能である。