著者は
東工大教授の
橋爪大三郎さん。専門は
社会学。
ウィトゲンシュタイン等が得意な方のようです。
本書は
麻布学園の心とテーマとした複数講師による連続講座をもとに書き下ろしたとのこと。こういう講義を基に書いた本、読みやすいのはいいのですが、内容が少々薄いものが多い気がします。
本書のテーマは「心はあるのか?」。著者は
ウィトゲンシュタインの
言語ゲームをベースに、心はあるのかないのかわからない、というか、どちらかというとないといってよいのでは、ということで話を進めているようです。結論はあまり明確になっていないような気がします。まあ簡単に結論がでるような問題ではないですが。
著者は、例えば、心があって言葉が出てくるという考えはおかしい、むしろ言葉があってこころが出てくるのでは、とか、愛情はむしろ愛情表現があるところに愛情という感情が出てくるのでは、といったことを主張しています。つまり、心という実体があり、心→言葉、行動、と我々が何となく思っているイメージは逆で、むしろ、言葉、行動、といったものから、心といったことが感じられるのでは、といったことかと思います。
確かにそうかもしれませんね。我々がなんとなく心と思っているものは言葉で構造化されているように思います。言葉がなければ我々が普段こころと思っているものは成り立たない気がします。