記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

生きて死ぬ智慧

生きて死ぬ智慧生きて死ぬ智慧
(2004/09/18)
柳澤 桂子

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あなたも宇宙のなかで粒子でできています。宇宙の中のほかの粒子と一つづきです。ですから宇宙も空です。あなたという実体はないのです。あなたと宇宙はひとつです。宇宙は一つづきであるから、生じたということもなくなるということもありません。

般若心経の本。著者は生命科学者として将来を嘱望されながらも原因不明の難病に侵され、研究生活を断念し35年以上に及ぶ闘病生活を続けている方。こうした大変な人生だからこそ見えてくるものがあるのでしょうか。般若心経を粒子、宇宙といった現代的な言葉で明快に語っています。 確かに我々個人個人は分かれているように見えますが、ビッグバンまでたどればひとつだったのでしょう。我々は”個人”といった境界を立てたがりますが、物理的に見ればそんな境界はない。よく我々は、単独で存在する自分、みたいなイメージを持ちますが、実際は単独で存在することはあり得ず、地球、空気、太陽、といったものが存在しなければ個人は成り立たない。といった意味で言えば、孤立した個人、といったイメージは幻想なのでしょうが、なかなかこれが幻想だというのが実感として沸かないところが難しいところだと思います。