本書は「地球学の世紀」というフォーラムにおける「地球システムと脳」とうテーマの議論が基になっている。著者は脳
生理学者の
伊藤正男(
理化学研究所)、甘利俊一(
理化学研究所)、合原一幸等の
脳科学の権威たち。解説と対談といった形で読みやすい本です。
伊藤正男さんは
脳科学の世界的権威だそうです。
本書で印象的なのは
伊藤正男さんによる脳の構造解説。脳は5階建ての建物(反射、複合運動、生得的行動、感覚運動機能、
連合野)に、電気や水道などの4つの
ライフライン(小脳、
大脳基底核、
大脳辺縁系、睡眠・覚醒)が通うイメージだそうです。わかりやすい例えですね。
本書は2004年の著作ですが、伊藤さんは脳に関して、簡単なところはわかるが、情動とか意思になると手が届かない、と述べています。最後に主観になるとどうしようもなくなるそうです。脳の研究はやはりまだまだなんですね。意識というのは定義するのも難しいそうですが、”どこかで自分自身のシステムをモニターする部分があって、そこが意識の座であるというのが素直なのだろう。”とのことです。