記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

父と子の中学受験合格物語

 

著者は作家。そのためうまい文章だが、その分記述が長くなかなか進まないので途中で飽きてしまった。

週4、16:45-21:10の塾通いが、夏休み5日間 1一日10時間の合宿など、受験戦争の過酷さがよくわかった。

最近茂木健一郎さんが中学受験の低年齢化に危機感を示しているが、こういう本を読むと確かにそうだと思う。

茂木健一郎氏 中学受験で低年齢での入塾に懸念「人生がもったいないだけでなく、国家的な損失」(東スポWeb) - Yahoo!ニュース

6年生の1年くらいはともかく、小学校3-4年から小学生が塾漬けになるのは国家的な損失というのは非常に共感する。この時期は脳や体が非常に様々な方面で発達する時期なのに、塾に通ってテキスト読んでテストというのは、刺激が少ないだろう。 

こうしたことを懸念して都立中学は試験ではなく適性検査という形をとっている認識である。詰め込み式の知識を問う問題でなく、論理的思考力や文章能力を問う問題。私は息子の受験があったので中学受験の問題もいろいろ見ていたが、都立と私立では全く違う。都立はある程度思考力や基礎学力が出来ている子であれば6年生1年間頑張ればなんとかなると思う。実際うちの子は6年からの塾通いでなんとかなった。ただ、では6年生からの0スタートかというとそういうわけでは全くない。塾通いは6年からだというだけで、本を読んだりテレビを見てそれに関して議論したり、植物や宇宙のことを話したり、一緒に将棋をしたり、といったことは幼稚園に入る前からやっている。 

一方、私立中学。私もいろいろ有名中学の問題を見て試しに解いたりしてみたが、確かにこれは早期詰め込みが有利な問題である。算数でも相当訓練しないと時間内に解けない問題である。夏休みの合宿をするのもよくわかる。社会の問題でも相当細かいことを暗記していないと高得点が取れないだろう。ただ、算数は思考力の訓練になるのでともかく、社会の問題などには非常に疑問を感じた。小学生にこんなことを覚えさせて何の意味があるんだろうと。詰め込みが有利なので、どんどん受験勉強の開始が低年齢化。そしてそれを売り上げ拡大につなげようとする受験産業。茂木さんが国家的損失と警鐘するのはよくわかる。近所の知り合いの子が、小3か4くらいから某SAXXXに通い、毎日遅くまで塾通い、青い顔していたのを思い出す。結局そんなにハイレベルな中学にいかなかったので、よく聞く話だが、SAXXXにいいカモにされていた口と思う。

こうした私立中学型の入試問題が受験戦争を生む一因と考える。こういうのをやめて、私立中学も都立のような適性検査型に移行するなど、出題形式を考えなおすのが良いのではないだろうか。そう単純にいく話ではないだろうが...