記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

プロフェッショナルの交渉力

 

著者は日朝首脳会談で有名となった外交官の方。

 

交渉力を身につけるための本、というよりは、氏の業績を述べた本といった感じ。交渉力を体系的に学ぶ、というのには向いてないだろうが、外交官の方がどんな仕事をしているか、というのがわかり、一読の価値がありました。

 

ちなみに、著者はかなり批判の多い、癖のある方のようです。この方が癖の在る、というのは文章からもプンプン匂ってきます。とにかく、自分の業績を誇示する記述が多い...ちょっとイヤになります。自分で書いててそういうところに気がつかないのは、そういうのに鈍い方なんだろうな、とか、周りでそういうの指摘してくれる人がいないんだろうな、と思います。例えば、日朝首脳会談から帰る飛行機の中で小泉総理から、”「田中さん、お酒は飲まない」”と言われたそうです。この"田中さん"というのは、"自分は小泉総理から名前で呼ばれてるんだ"というのを強調したくてわざわざつけてるんだろうな、と。そんな感じの記載が多いです。仕事の出来る方なのでしょうが、こうした一言一言が癇に障り、敵を作りやすい人なんだろうな、というのが伝わってきます。なんだかそういう空気の読めない感じはネゴシエーターとして致命的なんじゃないの?、とか思ってしまいました。

 

とはいえ、いろいろとうなづく点も多く、一読の価値の在る本だと思います。交渉をうまくやるためには、バスケットの中にたくさんの課題を持ち込めば持ち込むほどやりやすくなる、一方的に自分の要求を主張するだけでは交渉ではない、というのは確かにそうですね。交渉の基本だと思います。仕事でも交渉する場面はよくありますが、交渉の枠組み、相手側へ与える利益等、交渉の枠組みを考え、作戦を練ってから交渉に挑むべきだな、と思いました。