素晴らしい本である。”
虚数”をテーマに数学、物理に留まらず歴史、教育など幅広いテーマについて書かれている類稀な本。難点は1000ページと分厚いため持ち歩き困難なこと。是非分けて分冊にするか、
Kindle版を出して欲しい。
中学生レベルの知識から
虚数をテーマとして、”
博士の愛した数式”で有名な
オイラーの公式、そして後半は
量子力学、場の
量子論へ。中学生でここまで理解できたら素晴らしいだろう。学校の数学がおもしろくないと思っている中高生がこうした本を読めば数学や物理の深みに触れることができるのではないだろうか。私も中高時代にこんな本を読めばもっと勉強しただろう。息子が大きくなったら読ませてみたい。吉田武さんのファンになりました。
子供を持つ親向けの本としても良いと思います。親として子供にここに書いてあるようなことを一通り説明できれば数学・物理に関する教育としては十分だと思います。
少し残念だと思ったのは、
虚数をテーマにしながら
複素解析についての記載がないこと。私は大学で数学を専攻しましたが、コーシーの
積分定理を初めとした
複素解析の世界に非常な美しさを感じました。本書は
虚数の基礎的なことを述べた後物理的なほうに行ってしまいますが、この後
複素解析の方に行き、コーシーやリーマンの世界にいくという流れもあるのではないかと思いました。
リーマン面の話なども盛り込めるとますます数学の深みを感じることができるのではないかと思います。
この作者の吉田武さん、工学博士、という以外どんな方なのか判らない。
Wikipediaでは
著作家、と書かれているのでこうした数学系の本を書くのを仕事としている方なのだろう。著者紹介の欄では、”
京都大学工学博士”と書いてあった。”工学博士”というプロフィールは良く見るが、”
京都大学工学博士”という肩書きは始めてみた。
京都大学出身であることをよっぽど強調したかったのだろうか。なんかちょっと残念な点である。このせいか、Webではこの方を
京都大学の先生だと思っている方が多々いるようであるが、恐らく違うと思います。