記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て

「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て (PHP文庫)「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て (PHP文庫)
(2012/07/04)
大前 研一

商品詳細を見る
大前研一さんの子育て論。いろいろと細かなティップスもありますが、言いたいのは、”学校教育を素直に受けているような人間は社会で生きていける力がつかない。暗記するほど馬鹿になる。それよりも真に自分の頭を使うようなことをやらせろ。ボランティアさせるとか、家庭内で仕事を任せるとか、お金を運用させるとか、..."。大前研一さんがいうと説得力があり、主張もっともだと思います。確かに、私も一般企業に勤めていますが、活躍している人をみるとやややんちゃなタイプというか、いわゆる学校秀才型よりは型からはずれがちの人のが活躍している印象を受けます。一般に学校教育は非常に型にはめますが、社会に出ると制約がはずれ、なんでもアリの競争になるので発想が自由な、学校では浮きがちな人のが活躍できるのでしょう。その意味で、大前さんのいう”学校の成績が優秀な子ほど将来が心配”というのは一理あると思います。 今の学校は知りませんが、少なくとも私の学生時代の学校というのは、教科書を学んで問題を解く、というのが中心でした。いわゆる決まった答えのある枠組みで早く答えを出す訓練です。社会で求められるような新しいものを生み出す発想力、とか、ほとんど答えのないような不可能に近い状況の中で解を見出す、とか、いわゆる脳みそに汗をかくようなことはほとんどありませんでした。なんというか、学校での頭の使い方と、社会での頭の使い方は全く違うということを痛感しています。こうした意味で大前さんの主張はもっともだと思います。 とはいえ、日本の社会では良い学校を出ないとなかなか就職が難しいという現実もあり、学校での成績も求められるので、なかなか難しいところだと思いますが。 実際、本書では大前さんの息子の話も出ていますが、二人とも学校を中退して企業。しかしながら学校をドロップアウトして就職する際、長男の創希さんは大前さんに会社を紹介してもらっている。次男の広樹さんは大前さんの会社でITを担当している方に声をかけられ仕事を始める。結局二人とも大前研一さんの口利きで仕事を始めているわけです。なんだかがっかりです。”「一生食べていける力」”といってほんとうに独力で道を切り開いたのであれば納得ですが、実際は偉大な父に助けられている。大前研一さんの子供でなく、普通の青年であれば、学校をドロップアウト後、なかなか就職先がなかったりするんではないでしょうか。というわけで、??の部分もありますが、全般的に本書での大前さんの主張はもっともだと感じます。 特に、家庭内に企業でやっているようなことを取り入れていく、というアイデアは良いと思います。例えば、家族旅行のプランは子供に立てさせ計画をプレゼンさせる、とか、家庭内ベンチャーで小遣い稼ぎさせる、とか、食事の時間はあれこれ議論し、不明な点を子供に調べさせプレゼンさせる、とか、おもしろいですね。参考にしたいところです。