学生の頃読んだときは何をやろうとしているのかさっぱりわからない本だったが、小木曽先生の”代数曲線論”をある程度読んだ後に見ているとイメージが湧いてきた。層の説明ののちリーマン・ロッホの定理など代数曲線論を展開していくあたり、小木曽先生の本と展開が似ているからだと思う。代数曲線だけでなく複素代数曲面も扱っている。
こういう経験、数学書を読んでいるとよくあるが面白い。前提知識が乏しい状況で読むと、何が書かれているのか、何がしたいのか、等々、さっぱりわからない。人に例えると顔も見えない状況。ところがもっと易しい本や、全体概要的な本を読んだりすると何が書かれているのか、何がやりたいのか、問題意識は何か、といったことがわかってきて、目鼻が見えてきて急に読めそうな気がしてくる。やはり数学書を読むときは、まず最初に何がしたいのか、問題意識を理解することが重要だと思う。
私は物理も興味があり前から勉強をしている。量子力学や相対性理論は良い本のおかげで目鼻がみえてきてわかった気になってきたが、量子場の理論や超弦理論はまだ顔も見えない状況である。数式はなんとなくフォローできても、何がしたいのかがよくわからない状態で全く分かった気がしない。これが問題意識などがわかってくると急に理解が進むのだろうな、と思う。
ちなみに相対性理論はこの本のおかげで急に理解が進んだ気がした。