通勤時間にざっと読んだだけなのでまだまだ理解不十分だが良い本だった。再度じっくり読んでみたい。
相対性理論は学生時代にチャレンジした記憶があるが、核心に入る前に挫折した記憶がある。その後、
特殊相対性理論は、
光速度不変を前提としたら
ローレンツ変換しかない、ということで段々当たり前のような気がしてきたが、
一般相対性理論は手付かずであった。理解度はまだまだだが、本書を読んで壁を一つ突破した気がする。
良かった点
・一般相対論から導かれる大切な式はただ2つだけだ(P.130)
一般相対論は通常の本ではその準備のためのリーマン
幾何学の準備が続いた後に、あっさり結論が出てしまうらしい。本書ではリーマン幾何の詳細に入る前に結論の2つの方程式をざっと解説してある点がよかった。こんなシンプルな結論なんだ。1つめの式は測地線の方程式。これは
微分幾何に出てくる測地線の方程式そのもの。
微分幾何を勉強した人には説明不要だろう。そして二つ目が
重力場の方程式。結局、物体が存在することで空間がゆがむ。そのゆがみ具合である計量を計算するのが
重力場の方程式なのだな、と理解。そして物体はこの計量に対する測地線に沿って進む。計量が出たら測地線を計算するのは完全に
微分幾何の一般論だろう。一般相対論の肝はこの計量を計算する方程式なのだな、と理解。
となると一般相対論の肝は
重力場の方程式の導出なんだろう。これは本書のP.213のあたりで、エネルギー運動量
テンソルの共変
微分が0になり、一方曲率などから計算される
アインシュタインテンソルも共変
微分が0になることから
重力場の方程式を導出している。このあたりがなぜイコールにしてよいのかそのロジックはいまいちわからなかったが、何となくイメージはわかった。これだけでもだいぶ理解が進んだ気がしてうれしい。
・前書きと後書き
そして共感したのが前書きと後書き。著者は忙しい仕事と育児の合間をぬって物理の勉強を続ける。そんな著者に対する妻の目は、”あなたは好きなことばかりやって"と冷たい...わかります。私も空き時間を見つけてちょろちょろと数学の勉強などしていますが、大人が趣味の勉強をしていることに対する妻の印象はあまり良くないようであり、隠れるようにしています。女性の感覚は、そんなことしてる暇があったら皿の一枚でも洗え、という感覚のようです。著者も隠れるように、布団の中や夜中に勉強しているそうであり、共感しました。著者はそんな立場の大人のために、電車の中や布団の中でも読めるような本を目指したとのことです。この気遣いがうれしい。筆箱とノートを持って図書館にこもって何時間も専門書と格闘することができるのは学生の特権であり、社会人になり子供ができるとなかなかこれができない。こんな本が増えると良いと思います。