記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

神の数式

先週NHKで放送された「神の数式」、良かった。物理学者が追い求めてきたこの世界の根本原理を記述する方程式、それはアインシュタインの方程式、シュレーディンガー方程式、ディラック方程式、そしてその最終系の候補としての超弦理論へ、といった内容で、随所にキーとなる数式が出る珍しい番組。そして単にお飾りとして数式を映し出すだけでなく、その意味を簡単に解説してくれる点が良かった。最近勉強したばかりであるアインシュタイン重力場の方程式が出てきて嬉しい。後編にはウィッテンも出てきた。生で天才ウィッテンを見たのは初めて。

中でも一番印象的だったのは、ディラック方程式シュレーディンガー方程式では電子のスピンや磁気を説明できないことから、シュレーディンガー方程式が満たさないローレンツ対称性を満たす新しい方程式としてのディラック方程式を生み出し、見事に現象の説明に成功する。すごいですね。

私は物理は、量子力学と相対論くらいまでは勉強しておきたいと思っていましたが、この番組に感化され、ディラック方程式くらいまでは勉強したい、と思うようになりました。

しかしこうしたNHKスペシャルは、前のリーマン予想のときもそうでしたが、ちょっといきすぎ、というか、何も知らない人が見たら誤解を招きそうな箇所が多々あります。本番組ではやたらと、”数式でこの世界のすべてを解き明かそうとする人たち”といった表現が見られましたが、違うと思います。物理の根本的な基本方程式ができたら、生物現象、気象現象、経済現象、精神現象などこの世の様々な現象が説明できるようになるわけでは全くないですよね。全くレイヤーが違う話だと思います。例えば物理学の根本方程式が明らかになれば生物現象は根本方程式から算出されるので生物学が不要になる、といったことは全くないでしょう。リーマン予想のときは、リーマン予想が解ければ今ITで活用している暗号技術が解読されて社会が大変なことになる、といったむちゃくちゃなことをいっていたような気がします。