記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義
(2012/10/13)
ウォルター ルーウィン

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NHKでも放送されていたMITの名物教授、ルーウィン教授の本。TV放送を見ていましたが、それが良かったので本でもじっくり読んでみたくて購入しました。もちろん、ルーウィン教授の授業は動画でみるべきですが、その後に本をゆっくりと読むのも良いものでした。 本書では序章にユダヤ人であった父の思い出が載っている点が印象的でした。すごく陽性に見えるルーウィン教授にこうした暗い過去があるのが意外でした。特に、ユダヤ人である父が徐々に行動を規制され、公園に入れないようになり、墓地くらいしか入れなくなったため、”わたしは今でも、父と近くの墓地をよく散歩していたことを思い出す。”というのがせつない。 この方、ビル・ゲイツといった有名人を初めとしたファンが多いですが、私も類に漏れず大好きです。なんといってもあの授業を見ていると物理に対する情熱がほとばしっている。あー、これが本当の教師だ、と思いました。本当の教師像というものを始めてみた気がします。本書では、”比べたらほかの先生たち、全員ではないけど、給料泥棒みたいなようなものです。”といった生徒のコメントが載っていましたが、私もそう思います。ただ教科書の内容を説明できるだけの教師はあまり価値がないと思います。教師の一番の役割は、知識を伝えることではなく、生徒の好奇心に火をつけることだと思います。そのために一番重要なのは、教師自身がその学問分野に対する強い興味と愛情を持っていることではないでしょうか。物理に限らずこんな感じの先生が、数学、科学、世界史等様々な分野にいたらいいですね。なんというか、教師の真価は発する言葉ではなく、その言葉の背後から溢れる情熱や熱意なんじゃないか、と思います。 それに比べると私が出会ってきた教師はひどかった。私は中高時代、勉強に興味が持てずあまり勉強しませんでした。こんな教師と出会っていたら全然違っていただろうと思います。そういえば、科学者など偉人の伝記を見ると、よく良い教師との出会いが描かれていますね。小中学校の教師というのは教える内容はエレメンタリーではありますが、熱意に火をつけるという点で非常に重要な職業なのではないかと思います。最近の教師事情は知りませんが、たとえ相変わらず良い先生はあありいなかったとしても、YouTubeでただでルーウィン先生の授業を見ることができるので、今の生徒は恵まれていると思います。 ルーウィン教授の授業では、教室で青空、雲、夕日を作り出すのが印象的でした。空はなぜ青いの?、雲はなぜ白いの?、夕日はなぜ赤いの?、は誰もが子供の頃から持つ疑問で、いろいろとレイリー散乱やミー散乱の説明が書いてありますが、なんかとってつけたような説明だな、と納得感がありませんでした。しかしこうして教室で実証されると説得力があります。子供への教育において参考にしたい。