もと東工大教授、今野先生の物語。アメリカ留学で博士課程をとるための猛勉強。アメリカの大学では大学院でも大量に宿題がでるのですね。でもこうしたほうが確実に身につくのでしょうね。日本だと数学系では大学に入ると理論を理解する方に重点をおかれ、演習がややおろそかになりがちな印象がありますが、本当は数学はたくさん問題を解くのが理解の早道なのかもしれませんね。
本書の大きなテーマは父との葛藤といったところでしょうか。地方大学の助教授として終わってしまった父を超えたいという思い、そして最後のあたりでは父に対する温かい思い、ほろりときました。
ヒラノ教授にとっては父はありたくない姿、反面教師、だったのでしょうが、私のような普通の人間からすると、父が大学の数学の先生というだけでものすごい恵まれた環境、DNA、だと思うんですけどね。