記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

旅々オートバイ

旅々オートバイ (新潮文庫)
旅々オートバイ (新潮文庫)素樹 文生

新潮社 2002-07
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素樹文生さんが日本全国オートバイの旅に出た時のエッセイ。良かったです。 特に良かった箇所。 ・北海道で雨の日にテントの中で本を読む。素樹さんにとって最高の読書体験だったそうです。読んだ本は中川健次の「枯木灘」。本を読むこと以外に何もやることがない環境が本に没頭させ、完全に本の中の世界にのめりこめたそうです。朝起きてカップラーメンを食べて本を読んで、昼に外でカツ丼を食べて、といったシーンが描かれていますが、リアルでその場にいるような感覚になりました。雨の日のテントでの読書、憧れますね。旅先での読書って、何故か印象に残るものですね。 ・岐阜県のひなびた温泉で出会った、元レーサーのおじさんと、廃墟に近い簡易宿舎の中で囲炉裏端で飲んで語り合う。彼の半生を飲みながら聞く。その場のリラックスした雰囲気が伝わってくるようで良いシーンでした。 ”上海の西..."でも思いましたが、この方文章うまいですね。その場の情景が浮かんでくるようです。上記の北海道のシーンもありありと情景が浮かんできました。 素樹さんは自由を求めて、仕事も恋人も家も捨ててオートバイの旅に出たそうですが、本書ではこの旅の自由な雰囲気が出ています。我々仕事をしている人間だといつも時間に追われている気がしてなかなか真にリラックスした気分にならないのですが、時間の制約がないと開放感あるんでしょうね。そんな気になりました。 あと、印象的なところとして、オートバイの旅では”ありそうでなさそうで、なさそうで、結構ある”そうです。確かにこの方の本を読んでいると女性との出会いがよくでてきます。でもこれは、この方がもてるタイプだからではないかと思います。この方は人に好かれる、魅力的な方なんだろうなと思います。