量子力学の基礎を歴史的背景から丁寧に説明している良い本でした。特に実験なども丁寧に解説されているので、じっくり読むのに良い本だと思います。繰り返し読んでみたい本です。
個人的には、5章、
シュレーディンガー方程式の考え方(P.120)のあたりの説明がわかりやすく良かった。
波動関数をsinやcosの実関数としておくと、A∂Ψ/∂t=∂^2Ψ/∂x^2、という形式の
波動方程式を満たせないので(sinは1回
微分するとcosになり2回
微分でsinになるから)、
波動関数としてcos+isinという
複素数の関数を仮定する、との説明です。確かにそうですね。以前から
シュレーディンガー方程式に
虚数(i)が出てくるのが不思議でしたが、こう考えるとわかりやすいですね。しかしながら、自然界の基本方程式に
虚数がでてくるのは面白いと思います。
それにしても、最近時々、
量子力学の入門書なぞを読んでいますが、おもしろですね。なんというか、自然界の
基本法則が
シュレーディンガー方程式という
虚数やπを含んだ不思議な方程式で記述され、これがなかなか解けないのだが水素原子のときなどに解けると球面調和関数といった、数学で昔から研究されていた変な形の関数などがでてきて、それが電子雲の形になっていて、実際の実験結果とあっている。おもしろいです。なんというか、マクロな世界は
ニュートンの
運動方程式の比較的な単純な世界なのだがミクロになると一段と高度な数学が要求される世界となり変な関数が出てくる。また、ミクロな世界の
シュレーディンガー方程式は、水素原子など単純な場合を除きほとんど解けない。おもしろいですね。私は学生時代の専攻は数学だったのですが、
量子力学はあまり興味がなくあまり勉強しませんでした。なんか、ほんまかいな?、みたいな感じがして、リアリテイーがなく。
不確定性原理も気持ち悪いし。卒業して数十年たった今となって何故か、これはすごい理論なんじゃないか、との思いが遅ればせながら沸いて来て、興味を持つようになりました。不思議なものですね。ちょっとづつ勉強していきたいところです。