記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

宇宙は無数にあるのか

宇宙は無数にあるのか (集英社新書)宇宙は無数にあるのか (集英社新書)
(2013/06/14)
佐藤 勝彦

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この手の本を最近よく読んでいますが、似たようなタイトルの本が多く、ちゃんと記録していないと間違えて同じ本を買ってしまいそうです(笑)。実際ブルーバックスの同じ本を二度買ってしまったことあります...そんなこともあって少しでもなるべく読書記録を残すようにしています。 著者は「インフレーション理論」などを提供した宇宙論などを専門とする東大教授の佐藤勝彦さん。インフレーション理論とは著者とアラン・グース氏が提唱した、宇宙誕生直後(ビッグバンの前)にに起きた急速な膨張だそうです。著者が宇宙論の研究を始めた当時は宇宙論素粒子物理学にはあまり接点がなかったそうですが、著者は益川さんの「ワインバーグ-サラム理論を使えばいいんじゃないの?」といったアドバイスなどから素粒子物理学を適用するようになったそうです。 本書の主題となる「マルチバース」。超弦理論などではカラビ=ヤオ空間に多数の膜宇宙がつながっている世界観を提唱しているそうで、その多様な宇宙の可能性は10の200乗あるとのこと。壮大な世界観ですね。著者はここから仏教の「三千大千世界」という世界観を想起します。昔からよく仏教と物理学の類似性はよく指摘されていますが、こんな最先端の理論でもまた類似性が出てくるのですね。仏教というのは不思議な宗教です。 それにしても宇宙論の世界ではこんな壮大な議論が行われているのですね。非常に興味を持ちました。少しでも理解に向けて近づいていきたいところです。しかしながら、カラビ=ヤオ空間といった言葉からしてわからない。先は長そうです。Wikipediaを見ると、カラビ=ヤオ多様体とは、”どこでもゼロにならない正則 n-形式が存在する”などの条件を満たすコンパクトな n-次元ケーラー多様体だそうです。1次元の楕円曲線などの高次元版だそうで、こういわれると多少イメージが沸きます。ケーラー多様体なども勉強していきたいところです。