書評でやたらと評判がいいので呼んでみましたが、本当に良い本でした。
カルフォルニア工科大学教授、
素粒子論が専門の大栗教授が、高校の同窓生に語るイメージで、重力、相対論、
量子力学、そして最新の
超弦理論までを非常にうまく語っています。2012年5月出版の本なので、最新動向満載といった感じです。最近話題にのぼった
不確定性原理に関する小澤の不等式まで載っています。
ただ後半に進むにつれなかなか難しい。特に
超弦理論はいろいろと丁寧に解説されているのだが、通勤途中の斜め読みではやはり消化不良。”小さな空間に6つの
余剰次元が丸め込まれている?”などなかなかイメージがわかない。また再読してみます。
アインシュタインは大学受験に失敗して浪人していた16歳の頃から「もし光と同じ速度で並んで走ったとしたら、光はどう見えるだろうか?」と考えていたそうです。それにしても
ガロアもそうですが、天才といわれる人は受験に失敗しがちなんでしょうか?やはり既存の枠に入りきらないから天才的な発想が生まれるのでしょうね。いわゆる秀才、いい子ちゃんからはなかなか天才的なひらめきは生まれないのかもしれません。私も自分の子供には、学校の成績はあまり気にせず、もっと学問の本質的なところを追及するように教えて生きたいものです。
また、"
キャメロン・ディアスはインタビューで、何か知りたいことはあるか、と聞かれ、e=mc^2が何を意味するかを知りたい、と答えた。"というのもおもしろかった。数式というのは不思議と人々を魅了するものです。私も大学では数学を専攻しましたが、そのきっかけの一つが高校のとき図書館で見た数学事典です。そこに
ガロア理論の数式が載っていて、内容はさっぱりわからないものの何かとても深遠なものを感じて、こんなことを知りたい、と強く思った記憶があります。もちろん数式なんてみたくもない、という人もいますが、一部の人には数式は強い吸引力を持っているようです。
余談ですが、
超弦理論、私の大学時代もよく名前を聞いて、最近は廃れたのかと勝手に思っていたのですが、現役ばりばりで
素粒子の最有力理論として活躍しているのですね。知りませんでした。しかしなかなかイメージが沸きません。相対論は割とイメージが沸きやすいです。何故だかわからないが、この世界はとにかく
光速度不変という事実があり、光速が不変であれば時間が伸び縮みせざるをえないといったことはイメージが沸きやすいです。