記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

リチャード・カールソンの楽天主義セラピー

リチャード・カールソンの楽天主義セラピーリチャード・カールソンの楽天主義セラピー
(1998/12)
リチャード カールソン

商品詳細を見る
リチャード カールソンは、アメリカの作家・心理療法士・動機づけ講演者。26か国語に翻訳されているという”小さいことにくよくよするな!”がベストセラーで有名ですが、本書にはより深い内容がありお勧めです。ああ、確かに、という目から鱗的な記述が多かったです。 本書の主張は非常にエックハルト・トールやガンガジ・パパジなどのアドヴァイタ系の人と似ており、要は思考に構いすぎることで人は不幸になっていく、思考を気にしないことで人は本来の生き生きとした本来自分が出てきて問題の解決に近づいていく、といったことを言っています。非常に納得でき参考になる点が多い本でした。何やら悩み事が起こってきたとき、人にはそれを追及するか、気にしないで他っておくかの選択肢があることに気が付くことが重要だというのは正にガンガジが"STOP"の説明で述べていたことです。 The Diamond in Your Pocket - 20,THE MIND'S SURRENDER TO SILENCE 我々は無意識のうちに前者を選んでしまいがちです。 低調な気分なときには否定的な思考ばかり浮かぶという点も納得です。自分の思考が気分や体調に非常に左右されるということは私も最近気が付きました。気分や体調が優れないときにあれこれ湧いてくるネガティブな思考はあまり気にしない方が良いのでしょう。そんなときにはよく寝てすっきりした気分になるとそうした思考が消えていること、よくあります。同じ現実の状況でも、気分や体調により全く違った見え方をすること、よくあります。 274ページで述べられている、"否定的な思考は、知らないうちに頭に入り込み、それに注意を払わなければいけないという衝動を駆りたてます。"というのも、確かに、と思います。私も仕事上の悩み事などよく抱えていますが、そうした場合週末にもそうした悩みを引きずり、あれこれ考え続けていたりします。そして非常に低調な気分になり楽しい週末が台無しです。しかしながら週末に仕事のことを考えていて問題解決に向かって一歩でも進んだことなど一度もない!むしろ翌週会社に行ってあっけなく解決されてしまうことの方が多い。しかしながら心配事は何故か自分に”これ大丈夫か、何か解決策を考えろよ!”という強いアラームを送ってきます。これはこれで人間の脳の高度な機能なのでしょうが、この誘いに乗らないことが重要なのでしょう。そういえばエックハルト・トールもStillness Speaksで似たようなことを言っていました。 "The stream of thinking has enourmous momentum that can easily drag you along with it.Every thought pretends that it matters so much.It wants to draw your attention in completely.Here is a new spiritual practice for you: don't take thoughts too seciously. Stillness Speaks 本書を参考に私もなるべく仕事の心配を抱えない週末を送ろうとしています。そうして過ごしていたところ、突然何かすごい元気、活力、幸福感、が出てきた経験があります。これがリチャード・カールソンがいう、問題が解決できる人本来の力なのかな、と思いました。考えすぎないことで人は充電されるのでしょう。
  • 私たちの多くが、無意識のうちに、思考によってみずからを感情的拷問にかけているのは間違いありません。...自分に対して何をしているかに気付いた瞬間、あなたは自分を解放します。まさにあなたこそが、自分の人生が最低だという考えの作り手なのです。P.72
  • 古来賢人といわれた人たちは、人生は現実であっても、人生の諸問題は、思考が作り上げる幻影にすぎないことを知っていました。賢人たちは、私たちが問題をでっちあげ、考えるという能力をつかってそれを大げさにふくらますのを知っています。彼らはまた、思考の枠の外に一歩踏み出せば、探していた答えが見つかることも知っています。P.82
  • ほとんどの人がそうであるように、マークも考えが頭に浮かんだら吟味・分析し、そこに何があるかを見つけなければならないと感じていました。彼は思考を、自分が主体的に行っていることではなく、自分に起こっていることとしてとらえていたのです。P.84
  • もしあなたが思考を現実だと信じているのなら、そして最悪の思考から是が非でも抜け出そうとしているのであれば、最終的には問題をもっと多く抱え込むことになります。なぜなら、考えれば考えるほど思考はより大きく、重要に見え始め、対処すべき問題はますます増えてくるからです。P.89
  • メアリーは、自分はアル中なんだという思いが頭に浮かぶと、それを捨て去る練習を始めました。彼女はこうした思考を、対処すべき現実としてでなく、その場限りのものとみなすようになったのです。すると、むなしく感じる時間が短くなり、虚しさを感じていないときには、もっと楽しい気分になっていることに気づきました。彼女は自分自身の自然本来の働き-自分の中に常に存在しているのに、否定的な考えや敗北的な考え方によってときどき覆い隠されている部分-を引き出していたのです。否定的な考えをもっていないときには、自然本来の働きがすばやく戻ってくることを彼女は学びました。P.91
  • あなた自身のトラブル処理的な思考にしたがうのではなく、それを無視する練習をしてみてください。将来起こるかもしれない問題を予想したり、過去の問題を復讐するかわりに、あなた自身を今この瞬間にとどめるようにするのです。...あなたの内なる知恵と自然本来の働きは、過去の失敗をわざわざ復習しなくても、ちゃんと学ぶべきことは学んでいます。...心配事を「ただの考え」として捨て去ると何が起こるか、見ていてごらんなさい。あなたの心配事の中で深刻な現実的問題になるようなものは、実はほとんどありません。P.95
  • トラブル処理係の思考プロセスを説明するのはごく簡単です。何か、またはだれかを見ると、考えが泡のように浮かび始めるのです。思考の具体的内容は問題ではありません。...幸せな人はそんな思考を捨て去りますが、トラブル処理係は自分の考えに焦点を合わせており、それが現実であると思っています。P.96
  • さいわい、あなたが自分の思考システムに注意を払わなくなり、自分に不利なように考えるという能力を使わなくなると、心の自然本来の働きがあなたに味方してくれます。P.110
  • 自我は思考システムと密接な関わりをもっています。どちらも思考によって作られたものです。ほんとうのところ、自我などというものはありません-そんなものはもともと存在していないのです。自我が生じてくるのは、自分にそれがあると思うからです。...頭でこしらえた自己像という思考を手放してしまえば、不安は消え始めます。そうして初めて、私たちは思考システムや自我の外側で生きはじめ、自然本来の働きともつながることができるのです。P.111
  • 人生の状況が完璧になることなどけっしてありません。ですから人生を良くする方法を考えることが賢明だと信じるなら、あなたはそうすることによって人生の大部分を無駄にする破目になるでしょう。こうした道をたどるひとは大勢います。彼らは頭の中でしきりに対話し、一見それでさまざまな問題が解決しているようにみえます。しかし、実際それは問題を長引かせているだけなのです。P.142
  • 沈んでいるときに思い出すと、過去はつらいものに見え、これまでの人生は無駄であったように感じられ、未来に目を向ければ、希望なんてないように思えます。けれども、おもしろいことに、気分が上向きの時に思い出せば、過去はずっと幸福だったように見えてくるのです。P.158
  • 低調な気分に関する大きな問題のひとつは、それが永遠に続くように思われることです。それは、暗い洞窟の中で光りがまったく見えない状況によく似ています。とても恐ろしいことです。...つねにそれは永遠に続くように思えるのです。しかしそうではありません。P.161
  • 低調な気分の時に抱いた否定的な思考を無視することは、否認ではありませんし、危険なことでも無責任なことでもありません。あなたの問題というのが現実的なものであれば、それは気分がよくなっても存在しつづけます。唯一の違いは、気分のよくなったあなたには、問題解決の能力が高まっていることです。沈んでいるとき、現実的にどんな答えを見つけられると思いいますか?役に立たないはずです。P.163
  • 私たちの出会う問題は、いつも気分と関わっています。沈んだ気分の時にはちょっとしたことが大きな障害に思え、ちょっと意見されればそれが大きな批判に聞こえ、将来の障害は克服不可能のようにみえます。沈んだ気分の時には、どんな要素も-自分自身のものでも、外的なものでも-自分の経験の邪魔をし、不幸を生み出すように感じられます。しかし気分が良い時には、あなたの視野は広がり、そのときの自分の状態や、そのときもっているものを活かしてベストを尽くそうとします。P.166
  • 低調な気分から抜け出す方法は、気分を人生のなかのあたりまえの事実として理解することです。気分が沈んでいるという事実を受け入れると同時に、気分は自然によくなるものだと気づくことで、暗かった気持ちが晴れてきます。真実は、何もしなくていいのです。実際、手出しをしなければしないほど、あなたの状態はよくなります。沈んでいるときに頭に浮かぶことには一切注意を払うのをやめ、そのときの思考や感情を無視し始めると、気分はよくなり始めるのです。P.169
  • 幸せな人にとって過去とは、もっと今に集中して生きるための教訓であり、未来とは、やがて経験されることになる現在の瞬間です。幸せな人は、今一緒にいる人と充実したときをもつこと、過去や未来のことをあまり考えず、現在の行為に熱中することに一生懸命です。P.175
  • 思考には、来ては去るという性質があります。...頭の中の思考を通過させるかわりに、過度の注意を払うことによって思考にしがみつき、一層生々しいものにし、その思考はいつまでも頭にとどまり、しまいには落ち込みに変わるでしょう。思考をあまり長い間とどめておくと、それは気持ちに影響を及ぼすようになります。P.228
  • たとえば、「私は....が上手になれないだろう」といった単純な考えについて言えば、それを無視してやり過ごすこともできれば、それに焦点を合わせ、吟味したり分析したり、あるいはくよくよ考えることもできます。他の考えと同様にこの考えについても、通り過ぎるままにしておくなら、心の健康への影響は取るに足らないものでしょう。P.231
  • 思考はたんに思考でしかなく、自分が頭で作り出したイメージだと気づいているだろうか?P.235
  • 今までの私は、内容に関わらず、頭をよぎる思考の完全な犠牲者でした。思考は、激しい嵐の海を行く舵のない船の様でした。いま私は自分が船の船長であるように感じます。P.243
  • 自分の思考にとらわれないためには、まず、そうならないようにしようと意図しなければなりません。思考とは随意的機能であり、「感情の嵐」につながるような思考を捨て去る能力はだれにでもそなわっているものです。思考の渦舞に巻き込まれなければ、人生は非常にたのしいものとなります。P.253
  • 生活の中で気に障る些細な事柄から、人は完全に自由にはなれないようです。しかし、気に障るという感じを持たないようにすることは可能です。その解決策とは、大小を問わず人生すべての問題は、済んでしまったことを考え続けたり、まだ起きてもいないことを先取りして悩んだりして悪化していくのだ、と知ることなのです。P.260
  • ベッキーは何をすべきかということとと同じくらい、何をすべきでないかについて学んだようです。問題が頭をかすめても、意図的にそれから意識をそらすと、気分は次第に良くなり、問題解決策の準備ができるようになるのです。P.262
  • 人にはみなそれぞれカリキュラムがあり、どのカリキュラムも制覇・克服することが可能です。これが真実であることは、ナチスユダヤ人虐殺で生き残った人が証言してくれるでしょう。...カリキュラムが厳しいか厳しくないかは主観的な問題です。私がここで示そうとしているのは、どのカリキュラムにも必ず最終的な解決があるということなのです。P.267
  • 否定的な思考は、知らないうちに頭に入り込み、それに注意を払わなければいけないという衝動を駆りたてます。奇妙なことに、こんな風に考え続けていれば-とことん考え抜けば-なぜかいい気分になれるのではないかと信じたくなるのです。P.274