記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

唯識でよむ般若心経

唯識でよむ般若心経―空の実践唯識でよむ般若心経―空の実践
(2009/05)
横山 紘一

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すべての「もの」は、自己の中から噴き出してくる「感覚のデータ」と「思い」と「言葉」とによって織りなされた仮の存在であることがはっきりしてきます。... 私というものは、ただ言葉の響きがあるだけで、どこを探しても存在しないのです。P.30 名詞でものをいうことをやめてみましょう。なぜなら名詞でものをいうと、それを実体として有ると考えてしまうからです。「私はあなたが好きだ」というと、名詞でいった「私」と「あなた」とがいるようでありますが、そんなものは存在しません。...ただ縁起の理、依他起の理によって生じたエネルギーの変化体があるだけなのです。P.130

この手のタイトルの本についつい手が出ます。著書は唯識論を専門とする立教大学名誉教授、横山紘一さん。 般若心経を題材に唯識論を語ります。分厚い本ですが、唯識論を詳しく知りたい人には良い本だと思います。 確かに、自分ということばがあると、「自分って何」という疑問がでてきます。観察してみると、体、感情、思考、は確かにあります。その中で、自分、というものは観察できません。自分というのはそういうことばがあるだけ、抽象概念、実体はない、というのが、「自分って何?」という問いに対するシンプルな答えなのかもしれません。