非常に丁寧な本である。前野先生のファンになりました。
本書では水素原子の場合の
シュレーディンガー方程式を球面調和関数を用いて解くところまで丁寧に解説されている。このあたり、ややこしいので入門書では省略されている本が多いのではないかと思う。
量子力学にこうした数学の古典的な結果が活用されるのは面白いと思う。
それにしても、
ニュートン力学はシンプルな
微分方程式だが、
量子力学になると
偏微分方程式で、水素原子のようなシンプルなケースでもこうした球面調和関数といったものがでてきて、最新の
超弦理論などでは最先端の数学のオンパレードらしい。物理学が進むにつれ、高度な数学が必要になる、というのはちょっと不思議である。自然というのはそんなに複雑な構造をしている、ということか。あるいは、自然に比べると人間の知性はまだまだ幼稚だ、ということだろうか。
また、
超弦理論は物理学の最終理論として期待されているらしいが、本当に最終理論となるのだろうか、など興味はつきない。物理学はたまねぎの皮をむくように、従来の理論では説明できない現象が見つかり新しい理論が生まれてきている。いつかは人類は最終理論にたどり着くのだろうか。興味あるが、恐らく私の生きている間に結論は出ないのだろうな、と思う。