記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

子供達との対話

子供たちとの対話―考えてごらん (mind books)子供たちとの対話―考えてごらん (mind books)
(1992/06)
J. クリシュナムルティ

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「君たちは散歩のときに、河のわきの細長い水溜りに気づいたことがあるかもしれません。きっと何人かの漁師たちが掘ったのでしょう。そこは河と接続していません。河はどんどん流れて、広く深いのですが、この水溜りは河の生命と接続していないために、あくがういてよどんでいます。そこには魚もいません。そこは停滞した水溜りです。そして、深い河は生と活力に満ちて、速く流れていくのです。  そこで、人間もそのようなものだと思いませんか。生の速い流れを離れて、自分達の小さな水溜りを掘り、その小さな水溜りの中で停滞して、死ぬのです。そして、この停滞、この衰弱を生活と呼びます。」  哲人クリシュナムルティの著作。クリシュナムルティ、知らない人も多いと思いますが、奇跡的な人です。ざっというと、インドの貧しい家庭で生まれ、星の教団という宗教団体にメシアの素質があるとして発見され、英才教育を受けてきたものの、30くらいで自ら真理に目覚め、宗教団体を自ら解散し、その後は講話をして世界中を回ってきた人です。二千年以上前に生まれた仏陀も恐らくこんな人だったのではないでしょうか。  昔からクリシュナムルティの著作には非常に惹かれるものがあり親しんできましたが、これは特に印象に残っているフレーズです。人はそれぞれ固有の信念、世界観などを持っていますが、これが水溜りなのでしょう。構造主義で言う構造です。  クリシュナムルティの主張は非常にシンプルでありながら難しいというのが定評です。私のインド人の知り合いも、JKは難しい、といっていました。私は20年以上彼の著作に親しんできましたが、ようやく少しづつ理解が深まっている気がします(単なる気のせいかもしれません)。学生時代、都会の生活で孤独や不安感を感じていた頃、彼の著作を読んで非常に救われる気がして以来、親しんで来ました。理解できているのかどうかはよくわかりませんが、彼のことばで私が救われてきたのは間違いありません。20年たってYoutubeで彼のトークを見たり、通勤時にWalkmanで彼の講話を聞いたりしているとは不思議です。Internetは素晴らしい発明ですね。  クリシュナムルティは私の人生に大きな影響を与えている人の一人です。  国連で講演したり海外ではそれなりの知名度がある人だと思いますが、日本だと知名度が低いですね。  私の学生時代は大きな書店だと、彼の著作やラジニーシ氏の著作がたくさん並んでいましたが、最近は少ないですね。その代わり、スマサラーナさんの本がたくさん並んでいました。はやりすたりがありますね。