変わったと思えるのは、自分はひとりの独立している人間であって、「自分の人生」を抱えているその自分が自分自身や世界をいつか完璧にするだろうという思考感覚が落ちたという点です。P.10
何世紀ものあいだ、私たちひとりひとりが個人で会って、自由意思を行使しながら自分の思考を操って行動を決定している行動主体なのだと思い込んできました。ところが、近年の脳研究によってしだいに明らかになっているのは、そういう自己像は、地球は平らで宇宙の中心に鎮座しているという考えと同じくらいあらゆる点で話にならないほど誤っていることです。(P.34)
ノン
デュアリティーと呼ばれる精神世界の解説では今まで読んだ中で一番わかりやすい本という印象。内容が濃く、かみしめながらゆっくり読んでいる。この方は本当に言葉遣いがうまいというか、表現が難しいことを巧みに表現しているという印象。
悟りというと非常に美化、神話化されていて、突然自分が光に包まれる感覚で変容する、といったような劇的なものを想像してしまいがちだが、実際はこの方がいっているような、自分が自分の人生をコン
トロールしているという感覚がなくなっていく、といったようなものなのではないかと思えてきます。そしてこの方がおっしゃっていることは非常に
脳科学の最近の研究でいっていることとオーバーラップする。この方がおっしゃっているように、”自分”といったような幻想は、何十年/何百年後かの世界ではばかばかしい幻想ということがわかり、”死後の世界はどうなるか”といったようなことはばかばかしすぎで誰も議論しなくなるような世界が来るのかもしれないな、と思います。