記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

世界でもっとも強力な9のアルゴリズム

世界でもっとも強力な9のアルゴリズム
世界でもっとも強力な9のアルゴリズムジョン・マコーミック 長尾高弘

日経BP社 2012-07-19
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ページランク公開鍵暗号、2フェーズコミットなどIT系の人間にはある程度常識となっている著名なアルゴリズムを平易に解説している本。数式や抽象的な記述を極力排除した平易な解説が特徴なのだが、それが逆に少々まどろっこしいという印象もある。数式嫌いの人にはとても良い本だと思います。 個人的には第十章、決定不能性の章がおもしろかった。存在し得ないプログラム、を具体例を通して解説されておりとてもわかりやすい。全てのプログラムを対象としたクラッシュ検出プログラムというのが実現不能であることを具体例を通じてわかりやすく証明しています。チューリングなどが研究していた内容。要するに、”全てのプログラム”を対象とすると、プログラムには自分自身も含まれ、自己言及が発生するとおかしくなる、というのが肝だと思います。ゲーデル不完全性定理などと通じるないようですね。ただ筆者も述べているように、”決定不能性がコンピュータの利用に及ぼす実際の影響はない”。あくまでも理論的な限界の追求ですね。なのであまり応用的な面では重要ではないのでしょうが、コンピュータ科学の理論としてはおもしろいと思います。