記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

バカはなおせる

バカはなおせる—脳を鍛える習慣、悪くする習慣バカはなおせる—脳を鍛える習慣、悪くする習慣
(2006/03/24)
久保田 競

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脳科学の世界的権威、京大名誉教授、久保田 競さんの本。東大医学部卒業、京大霊長類研究所所長を歴任された方だそうです。妻は”脳科学おばあちゃん”とかいわれてTVなどでよくみかける久保田カヨ子さん。 脳を良くする習慣、悪くする習慣ですが、端的に言うと以下の様です。 楽しいことをやりなさい、ストレスをためるな、たくさん覚えて記憶力を刺激しなさい、走りなさい、大豆を食べなさい、などなど。 さすが脳科学の世界的権威だけであって厳密性を重視するというか、怪しいことはいいません。なんとなく脳に良さそう、というのではだめできちんと実験データに裏付けられたものしか認めない。その分、いっていることは刺激が少ないというか、上記のように、まあそりゃそうだろうな、というようなことでした。 この中では特に、記憶の訓練をせよ、という部分を実践していきたいと思っています。年とともに記憶力の低下を痛感しています。ワーキングメモリーを刺激することで鍛えていきたいところです。 また、子供に[NO-GO]を教えよ、というのも参考になります。やってはいけないことをしなかったことをほめる、です。なるほど、これは発想の転換ですね。 意外だったのは、随所でロールプレイングゲーム(RPG)が脳によい、とおすすめしているところ。でもどうでしょうか。確かに脳には良いのかもしれませんが、この方、RPGの危険性をちゃんと認識してるんだろうか。RPGはものすごい中毒性があり、いったん始めるとそればかりになってしまう人がどれだけいることか。私の大学の同期でも、RPGばかりやっている人も多々いました。大学で何をやったか?→RPGばかりやってました、というのもなんだかもったいない気がします。確かに頭を刺激するので脳には良いのかもしれませんが、私は子供にはやらせたくないですね。”長時間続けなければ問題ない”といったこともいっていましたが、それができない人がどれだけいるか。 最後の章では近年、脳科学の学者が世の中に氾濫していることを痛烈に批判。信用できる著者かどうかは、著者がちゃんと論文を書いてるかどうかで判定せよ、一般向け本ばかり書いている著者は駄目だ、研究と並行してたくさんの本を書くことはありえない、などなど。確かにそうですね。脳科学者、怪しい人がいっぱいいそうです。 以下、印象に残った点。

  1. おいしいものを食べること、これが最高に脳によいのです。... 運動すること自体、脳にいいことなのです。P.29
  2. うまくつきあえば、ゲームやネットは脳を発達させるのに役立つのです。P.32
  3. まず脳をよくするうえで一番大切なのは、”自分の好きなことをすること”、そして”体を動かすこと”を生活にふんだんに取り入れることです。P.33
  4. 実は脳にとっては、なんでも覚えておく方がいいのです。...つまり、人間の脳は情報を入れるだけ入れた方が機能が向上します。P.45
  5. 科学的にはっきりしている「脳によい食べ物」の第一は大豆です。P.47
  6. トランプの神経衰弱などはこのワーキングメモリーの能力を比べあう遊びです。こうした遊びに強くなった人は、ワーキングメモリーの能力が高くなり、前頭前野がよく働くようになり、頭もよくなります。P.73
  7. 赤ちゃんのワーキングメモリーを鍛える方法としては、まずは、いないいないばあがあります。P.128
  8. キレない人間に成長させるためには、[NO-GO]の訓練も赤ちゃんのときからさせるべきです。基本は、「しなかったらほめる」です。...積極的に何かをすることと、積極的に何かをしないこととを同時に覚えさせていくべきなのです。P.131
  9. 8-15歳になったら、いろいろな知識を詰め込みましょう。...この時期は頭頂連合野が一番発達する時期ですので、知識を詰め込む、暗記を繰り返すことで、脳がよく発達します。まず、本をたくさん読ませることです。P.140
  10. ものを覚える際に、ある場所へいく道順をイメージし、頭の中でその各ポイントに順番に覚えたいものを置いていく、というほうほうです。これを「場所法」と言います。P.147
  11. 35歳を過ぎるころから、人間の宿命として、脳や体のいろいろな働きが次第に低下していきます。...そうした場合は、記憶の訓練をしましょう。それには「場所法」やのほか、その日に出会った人の名前を帰宅後に思い出して全部書き出す、おとといの晩御飯はなんだったかを思い出して昨夜の晩御飯と比較するーといった練習が有効です。P.174
  12. 脳に関する本は、21世紀になってから書かれている本しか信用しない方がいい。それ以前の本の内容はもう古すぎると思っていただいて結構です。P.210
  13. いい本は本当に少ないので、著者に「学者」という肩書がついていても、常に疑いながら読まないといけません。P.228