記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

ソリトンがひらく新しい数学

ソリトンがひらく新しい数学 (岩波科学ライブラリー (4))
ソリトンがひらく新しい数学 (岩波科学ライブラリー (4)) 早稲田大学教授、上野 喜三雄先生によるソリトン理論の紹介。 ソリトンとは粒子のように振る舞う波で、KdV方程式等の波動方程式の解として導かれる。ソリトンの数理的研究が活発に行われた1970年代末から80年代にかけての熱い様子が描かれています。クライマックスは佐藤幹夫氏による「ソリトン方程式の解空間は無限次元グラスマン多様体である」ことの解明。方程式の解空間の構造を鮮やかに描き出すこの理論は微分方程式におけるガロア理論のようですね。 リー群、リー環等の紹介もあり、数学の副読本として良いと思います。私も数学科時代、よくリー群、リー環という言葉は耳にしたもののあまり興味は惹かれませんでしたが、当時こんな本を読んだら興味を持っただろうな、と思いました。