おもしろい本です。慶応大学教授のロボット博士による心の理論。
前野教授は、受動意識仮説を提唱し、本書ではそれを哲学や宗教に絡めて論じます。
受動意識仮説というのは要するに、心は中央集権的なものではなく分散処理的な、社会的なものであり、「私」が統治し判断しているといったのは幻想である、といった理論です。意識というのは単に
エピソード記憶をするためにあるものであり、意識で判断しているわけではない。意識は小人達の判断結果を受け取る受動的なものである。
これは納得がいきます。実は我々が大事にしている自分、意識、といったものは実は対した物ではないんじゃないか、という気がします。
ただ、本書では東洋思想や哲学を勉強して受動意識仮説を検証していますが、本を何冊か読んで、こんなものかと自分でわかる範囲で理解して、自説と比べているという印象です。