記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

数論への招待

数論への招待 (シュプリンガー数学クラブ)数論への招待 (シュプリンガー数学クラブ)
(2012/11/27)
加藤 和也

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楽しい本でした。加藤先生のファンになりました。こんな本を大学時代に読んでいたらもっと数論に興味を持っただろうな、と思います。数式も多いので電車の中の立ち読みで式を追うのは少々きついですが、それでも加藤先生の語りがうまいので大枠は理解できたと思います。 中学生でも良く知っている辺の長さが7,5,3の三角形の話からその奥に潜む類体論という深い数学の世界。初等的な数学の内容だが実はその奥に深い数学の世界が隠れている、というのはおもしろいです。類体論に興味を持ちました。 三大作図問題が不可能であることの解説もとてもわかりやすい。 そしてp進数の話。p進数というのは昔から聞いていたが、いまいち必要性がよくわからない。依然としていまいちよくわからないのだが、加藤先生がp進数の世界に非常に大きなロマンを持っていることはわかった。本書は"p進数と宇宙"という加藤先生が夢を語るところで終わる。有理数から実数が生まれてくるのだが、それではない進化系として有理数からp進数という発展系もある。しかしながら、この世ではp進数よりは実数が幅を利かせている。でもどこかにp進数が幅を利かせている世界もあるのではないか?例えばブラックホールの中とか。そんな加藤先生の夢想が描かれていてとても楽しい。何百年後とかに、実数ではなくp進数が幅を利かせて、小学生はp進数を勉強する、そんな世界が来たらおもしろいですね。