牧野富太郎先生の植物記です。これは野の花1。
1973年初版の古い本ですが、図が豊富で明快で楽しいです。先生の植物に対する愛情が伝わってきます。やはりこうした偉人はパワーというか、カリスマ性がありますね。
私も
牧野富太郎さんのように、植物と友達になり、道端の雑草を楽しんでいけるようになりたいと思いました。
以下、抜粋。
・わたしの一生はお金にめぐまれず貧乏続きで、食べるものにも困ったほどつらい目にもあいましたが、私は少しもみじめな気持ちやさびしい気持ちになったことはありませんでした。わたしは
大自然と言う母のふところにいだかれ、植物と言うなかよしの友達がいたからです。
・植物となかよしの友達になるためには、まずその植物の名を知ることです。
・散歩をしていても、道端に咲いている草や、林のな
かにしげっている木が、みな自分の知り合いだったらどんなに心楽しいでしょう。
・一つの花にめしべもおしべもそなわっている花を両性花といいます。多くの花はたいていこの両性花です。サクラ、バラ、スミレ等。ところが花の中にはめしべしか咲かない花、おしべしか咲かない花があります。このような花を単性花といいます。キュウリやカボチャなど。
・キュウリやカボチャなど、一つのつるにめばなとおばながつくものを雌雄同株(どうしゅ)といいます。これに反して、株が分かれているものを雌雄異株(いしゅ)といいます。
イチョウ、ソテツ、など。
・両性花と単性花を比べてみると、単性花のが進化していることがわかる。単性花には両性花のなごりがみられることがあるからである。ナスの花などおばなにめばなのあとが残っている。
・花びらの数は、たいてい3,4、5枚か,その倍数になっている。
3枚:
ツユクサ、
ヤブミョウガ,他。
4枚:
ナズナ、ダイコン、他。
5枚:スミレ、ヤマブキ、モモ、他。
6枚:
モクレン、
ナンテン、他。
・
アジサイは4,5枚の花びらを持っているように見えるが、花びらのように見えるものは実はがくの変化したもので、本当の花びらは花の中央にあるが目立たない非常に小さなものである。
・ドクタミの花は4枚の大きな白い花びらをつけているように見えるが、これはほうの一種で総包とよばれている。
ハナミズキもそう。
・八重咲きの花はたいていおしべが花びらに変化してできたもの。八重咲きの花にはたいてい実がならない。これはおしべがないからである。
・ヒマワリは小さな花が集まってできている。外側に並んでいるのを舌状花(ぜつじょうか)といい、内側に並んでいるのを管状花という。実を結ぶのは管状花である。