般若心経というよりは禅入門といった方が良いような、禅問答を多数収録した本。禅の入門書としてよいと思います。般若心経の解説としては今一な感じがしました。
般若心経、昔から大好きなお経です。多数の人が解説していますが、ピンキリですね。誰でもそれなりの解説ができますがそこに差がでます。昨日本屋で見かけた瀬戸内 寂聴さんのは今一でしたね。私が一番好きなのは
一休さんによる解説です。
この松原 哲明さんという方は三田にある龍源寺の住職の方。仏教書を多数出している松原 泰道さんのご子息。こういっては何ですが、寺に生まれて職業として仏教を理解して解説しているという感じがしました。中学生くらいのときにこの手の本をたくさんよんで、なんだかしっくりこなくて悶々としていた頃を思い出しました。その頃に
クリシュナムルティや
ラマナ・マハリシ、ニサルガダッタ・マハラジ、等に出会っていたら全然違っただろうと思います。
昔どこかで読んだことのある、
芭蕉のエピソードが載っていたのが良かったです。
芭蕉は禅の影響を大きく受けているとのことです。
芭蕉は
仏頂和尚の元に参禅し、
「いかなるか青苔未生以前」 ...青苔とは人がつけた名前だ、名前のつく前のこれは何だ
と問われます。これに対して
芭蕉は、
かわずとびこむみずのおと
と返答し和尚は
芭蕉に
印可を与えたとのこと。この響きは天地未分以前の好消息ではないか、とのこと。この有名な句は禅の影響を受けているんですね。