書店勤務の24歳、麻田甲斐君の恋愛物語。おもしろい。
職場の憧れの先輩、高谷さん。この甘い気持ち、よくわかります。
著者は女性ですが、男の気持ち、よく描かれていますね。こうした甘い気持ち、その当時は苦しかったりするのですが、年をとって改めて振り返ると、貴重な感情だったと思います。
返事を待たずに、俺は彼女の頭をタオルで包み込むとゴシゴシ拭いた。高谷さんは、大人しく俺のするままになっている。こんな背丈だったことに、俺は改めて気が付いた。
彼女の頭がこんな大きさであることも初めて知った。何だか、とても可愛い大きさだ。
不思議な感情が、俺の心に寄せてきた。それを振り払うように、俺は少し乱暴に拭き続けた。
その時、果実の皮を剥いたように、タオルの間から高谷さんの顔が覗いた。あどけない顔だな、俺はそう思った。
どうして、こうなったのだろう。気がついたら、俺は高谷さんにキスしていた。俺は夢中で、彼女の唇を吸っていた。とても甘い唾液が、俺の口の中に解けて行った。