記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

量子とはなんだろう

ものすごくわかりやすかった本だった。著者の説明がうまいことと、具体例が豊富であるからだろう。平易な解説ながら、内容は量子力学の基本的なところからファインマン経路積分ベルの不等式量子コンピュータまで非常に豊富。著者は慶応の商学部の教授。物理を専門としない学生向けに物理の講義を行っているということで、わかりやすい説明が磨かれているのかと思う。

特に5章、量子の群像で、量子力学を記述する方法として、ハイゼンベルク行列力学シュレディンガー波動力学、そしてファインマン経路積分を数式を交え説明しているところがわかりやすくて良かった。なかなか理解が難しい経路積分だが、粒子には大きさ1の複素数が付随し、粒子があらゆる経路に沿って動くとともに複素数も演習をぐるぐる回る”という説明がわかりやすい。ファインマンが確か”光と物質のふしぎな理論”で一般向けに同じような説明をしていたが、それを一歩踏み込んだ形で説明されていて理解が深まった。そして経路積分の考えをもとに”量子力学とはプランク定数程度に緩くなった古典力学とでもいうべき体系”という説明が非常にイメージを喚起された。