記憶の索引2

東京の普通の会社員の日記。本や映画の感想、自然観察、日々の思い、など。 興味は科学、数学、脳と心、精神世界、植物、育児、教育、ビジネス、小説、などなど。

この定理が美しい

”サリバンの遊走領域非存在定理”、”ハッセの定理”等興味深かった。

印象に残ったのは、石井先生が書かれていたガロア理論の箇所。学部の頃にガロア理論を勉強して、うまくいっていることのありがたみがわからなかった、とのこと。ガロア理論の美しさ、ありがたみが身に染みたのは数学者になってからとのこと。

 

私も昔数学科の学生のとき憧れのガロア理論を学んだものの、あまり感動しなかったので、ちょっと安心した。啓蒙書のような本ではなく、がちな教科書で勉強したので、証明はフォローできても、そんなものか、という感覚だった。ガロア理論で一番知りたかったのは5次方程式に解の公式がないことだったのだが、体の拡大の話が出てきたあたりでからくりがわかった気がして、また体を拡大していく話があまりきれいにみえなくて感動しなかった。

深みがわかってきたのは、対称性の観点などでいろいろと語られた本などで学んでからだ。当時はあまり対称性という観点で考えていなかった。教科書だけでなくもっと砕けた本などいろいろと読むのが大事だと思う。

また、ガロア理論→五次方程式の解の公式がない、の先入観が強かったのだと思う。そこはガロア理論の本質ではなく、体から群への反変関手という非常に現代的な視点の数学を築いたところが画期的なところだ、と理解が深まってきた。

これ関連して反変関手といえば圏論、なんだかとらえどころがなく苦手だったが、最近少し勉強して良さがわかってきた。ガロア理論もそうだが、層の話も、層とは位相空間から加群や環への反変関手だ、と言われるとなんだかすーっと頭の中が整理された気がする。まだまだ理解不十分だが、圏論が好きになってきた。

数学の様々な分野を圏論的な解説付きで記載しているこの本、とても良い。